外壁打診調査とは?調査対象や方法を詳しく解説

建物の外壁は、日々の風雨や紫外線による劣化、温度変化による収縮や膨張など、さまざまな要因で少しずつダメージを受けています。外壁の劣化を放置しておくと、最終的にはタイルやモルタルが剥がれ落ち、歩行者や建物利用者に危険を及ぼすことになります。そこで重要となるのが、定期的に行われる外壁打診調査です。

外壁打診調査は、建物の安全性を確保するために欠かせない作業です。特に公共性の高い建物や多くの人が利用する施設においては、定期的な調査が法律で義務付けられています。この調査を通じて、外壁の劣化状態を把握し、必要な補修やメンテナンスを行うことができるのです。

しかし、外壁打診調査とは具体的にどのような調査なのか?どのような建物が対象となるのか?また、どのような方法で調査が行われるのか?本記事では、外壁打診調査の基本から具体的な調査方法まで、詳しく解説していきます。これを読むことで、外壁打診調査の重要性や実施方法についての理解を深めることができるでしょう。

目次

外壁打診調査とは、建築基準法で定められた外壁の定期調査

外壁打診調査とは、建築物の外壁に異常がないかを確認するための定期調査のことです。建築基準法では、建築物の安全性を確保するために定期的な調査が義務付けられています。特に、外壁のタイルやモルタルの劣化が進むと、剥離や落下が発生しやすくなり、歩行者や建物利用者に危害を及ぼす可能性があります。

2008年に国土交通省が告示した第282号により、外壁の打診調査が義務付けられました。これは、テストハンマーや打診棒を使用して外壁を叩き、その音や感触から内部の劣化状態を判断する方法です。この調査は、専門の技術者によって行われ、報告書が作成されます。報告を怠った場合には、建築基準法第101条に基づき100万円以下の罰金が科されることもあります。

外壁打診調査は、特定の条件を満たす建築物に対して行われるものであり、全ての建築物が対象ではありません。次に、外壁打診調査が必要な建築物の条件について詳しく説明します。

外壁打診調査の対象か確認する方法

外壁打診調査の対象かどうかを確認するためには、まず所有する建築物が定期報告の対象となっているかどうかを確認する必要があります。その上で、外壁打診調査が必要な条件を満たしているかを見ていきます。

①定期報告対象建築物に当てはまっているか確認する

定期報告の対象建築物は、建築基準法と各都道府県の建築基準法施工細則により定められています。一般住宅は対象外となることが多いですが、以下のような公共性の高い建物は定期報告の対象となることが一般的です:

  • 劇場、映画館、演芸場
  • 病院、診療所(患者の収容施設があるもの)
  • 学校、体育館
  • ホテル、旅館、共同住宅
  • 博物館、美術館、図書館
  • 百貨店、マーケット、展示場

各都道府県の建築指導局のウェブサイトで、具体的な定期報告の対象規模が公開されているので、所有する建築物がこれに該当するかどうかを確認しましょう。

②外壁打診調査対象に当てはまっているか確認する

定期報告対象の建築物であっても、外壁打診調査がすぐに必要かどうかは次の条件により決まります:

  1. 竣工や外壁改修から10年以上が経過していること。
  2. 過去3年以内に打診調査を実施していないこと。

上記の条件に当てはまっていない場合でも、目視や双眼鏡等で外壁に異常が発見された場合は、打診調査が必要です。また、3年以内に外壁改修が予定されている場合や、歩行者の安全を確保するための他の対策が講じられている場合は、打診調査を行わない場合もあります。

外壁打診調査の方法

外壁打診調査にはいくつかの方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。以下に主な調査方法を紹介します。

①仮設足場

仮設足場を組んで行う打診調査は、安全性が高く、広範囲の調査が可能です。調査員が足場を使って直接外壁にアクセスし、細かく打診調査を行うことができます。この方法は特に大規模な建物の調査に適しています。しかし、足場の設置と撤去には時間と費用がかかるため、コストが高くなりがちです。

②高所作業車

高所作業車を使う方法は、足場を組む必要がなく、短時間で調査が可能です。車両に搭載されたリフトで作業員が高所に移動し、打診調査を行います。狭い場所や特定の高さの調査には向いていますが、高所作業車自体が入れない場所や広範囲の調査には適していません。

③ゴンドラ

ゴンドラを使う方法は、屋上や屋根から専用の架台を設置し、ゴンドラに作業員が乗って外壁を調査する方法です。仮設足場よりも設置と撤去が簡単で、比較的安全に作業ができます。しかし、専用機材のコストが高く、大規模な建物には向いていない場合があります。

④ブランコ

ブランコ工法は、屋上や屋根からブランコを吊り下げて作業員が座りながら調査を行う方法です。足場が不要で、狭い場所でも作業が可能ですが、安全規格が明確でないため、安全性の確認が必要です。適切な業者を選ぶことが重要です。

⑤ロープアクセス

ロープアクセスは、特殊な技術で屋根や屋上から作業員がロープで吊り下がり、外壁を調査する方法です。足場が不要で、低コストで実施可能です。レスキュー隊が使用する技術を応用しており、安全性も高いですが、大規模な建物には向いていません。

⑥赤外線サーモグラフィ

赤外線サーモグラフィは、外壁の温度差を利用して劣化を確認する方法です。目視では分からない微細な劣化を検出することができ、効率的に調査を行えます。しかし、気候条件によっては結果の信頼性が低下するため、打診調査と併用することが推奨されます。

外壁打診調査の流れ

外壁打診調査は、専門の業者に依頼することで進められます。以下は一般的な調査の流れです。

1. 打診調査業者に問い合わせる

まずは、お近くの外壁打診調査業者に問い合わせをします。地域の建築指導局やインターネットでの検索を利用すると、適切な業者を見つけやすいでしょう。

2. 見積もりをしてもらう

業者に問い合わせた後、現地調査や建物の規模、調査方法に基づいて見積もりを作成してもらいます。複数の業者から見積もりを取り、料金やサービス内容を比較することをお勧めします。

3. 契約後、打診調査を行う

契約が成立したら、具体的な調査日程を調整し、打診調査を行います。足場が必要な場合は、その設置・撤去作業も含めてスケジュールを組みます。調査は通常1日から数日で完了します。

4. 業者に報告書を作成してもらう

調査が完了したら、業者が報告書を作成します。この報告書は地域の建築指導局に提出する必要があります。報告書の内容を確認し、問題があれば業者と調整を行いましょう。

ロープアクセス工法を使用、ギアミクスの外壁打診調査の特徴とは?

特徴1. 機動性と安全性を兼ね備えた外壁打診調査

ロープアクセス工法は、機動性が高く、安全性にも優れています。この方法は、自衛隊やレスキュー隊が使用する技術を応用しており、狭い場所や複雑な形状の建物でも柔軟に対応できます。足場やゴンドラの設置が難しい場合でも、ロープアクセスなら迅速かつ安全に作業が可能です。

特徴2. 外壁打診調査を低コスト・短期間で実施可能

ロープアクセス工法は、足場を設置する必要がないため、コストを大幅に抑えることができます。さらに、足場の設置や撤去に時間を取られないため、調査期間も短縮されます。これにより、建物の利用者への影響を最小限に抑えることができます。

特徴3. 外壁打診調査の報告書はカスタマイズ可能

株式会社ギアミクスでは、調査結果を分かりやすく伝えるために、報告書のカスタマイズが可能です。依頼者の要望に応じて、詳細な情報や写真を盛り込んだ報告書を作成し、外壁の状態を正確に把握できるようサポートします。

調査対象の建築物は必ず外壁打診調査をしよう

外壁打診調査は、建築基準法で定められた重要な定期調査です。条件に当てはまる建築物は必ず調査を行い、安全性を確認することが求められます。定期的な外壁打診調査を実施することで、建物の劣化を早期に発見し、事故を未然に防ぐことができます。適切な業者を選び、確実に調査を行っていきましょう。

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