建造物における胴縁って? 胴縁のサイズ(寸法)や役割を解説

建築物の外壁に設ける「胴縁(どうぶち)」について、図を使いながらわかりやすく解説します。この記事を読むことで、胴縁が果たす役割や、建物の耐久性を高めるために効果的な配置方法を理解することができます。

目次

胴縁とは【外壁の下地部材】

胴縁とは、柱や梁などの構造部材に羽目板やボード類、波形鉄板などを取り付けるための下地部材です。外壁材の強度を高め、通気工法において空気の通り道を確保する役割を果たします。

胴縁という言葉を耳にしたことはありますか?建築業界に関わっている方にとっては常識的な知識ですが、一般の方にはあまり馴染みのない言葉かもしれません。しかし、住宅を建てるときには土台や通し柱、間柱、梁など様々な部材が必要となり、その中で胴縁は非常に重要な役割を担っています。

胴縁にはAD材(エアドライ材)とKD材(キルンドライ材)の2種類があります。AD材は天然乾燥材で、半年から一年かけて自然に乾燥させたものです。一方、KD材は窯で2週間から一ヶ月程度乾燥させた人工乾燥材です。建物内部に使用する場合は、含水率の低いKD材を選ぶのが一般的です。また、胴縁には主に杉が使われており、加工しやすく、さまざまな寸法のものが販売されています。

胴縁の役割

胴縁は外壁の下地材として、以下のような役割を果たしています。

【役割①】壁の強度を高める

薄い外壁材は強度が低く、柱や梁に直接取り付けただけでは曲がってしまう可能性があります。胴縁を細かく配置し、外壁材をしっかりと留め付けることで、強風や地震などの外力に対する補強効果が得られます。外壁材が飛ばされるリスクを減らし、建物の耐久性を高めるためには、胴縁の適切な配置が欠かせません。

例えば、台風などの強風にさらされる地域では、胴縁の配置が特に重要です。適切に設置された胴縁は、外壁材をしっかりと支え、風圧力に対抗することで建物全体の耐久性を向上させます。また、地震の多い地域でも、胴縁は建物の揺れを分散し、外壁材の損傷を防ぐ役割を果たします。

【役割②】通気工法において空気の通り道をつくる

通気工法では、胴縁が壁と外壁の間に通気層を設けることで、壁内部の湿度を適正に保つ役割を果たします。これにより、結露や湿気対策ができ、建物の耐久性が向上します。特に木造建築においては、湿気や結露が木材を腐らせたり、カビを発生させたりするリスクがあります。通気層を設けることで、これらの問題を防ぎ、建物の寿命を延ばすことができます。

通気工法は、特に日本のような高温多湿な気候において重要です。適切な通気層を設けることで、壁内部の湿度をコントロールし、木材の劣化を防ぐことができます。また、通気層は夏場の熱気を逃がし、建物内部の温度上昇を抑える効果もあります。

胴縁を設置する建築物

胴縁は、主に以下の建築構造に設置されます:

  • 木造
  • 鉄骨造

ただし、外壁材が単体でも風圧力に耐えられるRC造(鉄筋コンクリート造)などでは、胴縁を設置しないことがあります。木造建築では胴縁が特に重要な役割を果たしますが、鉄骨造でも適切な配置が必要です。

木造建築では、胴縁が外壁の下地として欠かせない存在です。木材は湿気に弱いため、適切な通気工法と胴縁の設置が必要です。鉄骨造では、外壁材の取り付けに胴縁が使用されることが多く、強度と耐久性を高める役割を果たします。

胴縁材の断面寸法

胴縁の寸法は木造と鉄骨造で異なります。以下は一般的な寸法例です:

木造における胴縁の寸法例
  • 6分×1寸5分(18㎜×45㎜)
  • 13㎜×45㎜から18㎜×45㎜

木造建築では、胴縁の寸法が外壁材の取り付け方法や設計に大きく影響します。適切な寸法を選ぶことで、外壁材の取り付けが安定し、建物全体の強度が向上します。ホームセンターなどで簡単に入手できるため、DIYにも適しています。

鉄骨造における胴縁の寸法例
  • C形鋼:C-100×50×20×2.3以上
  • 角形鋼:□-100×50×2.3以上

宮脇鋼管では、SS400やSTKR400といった材質の胴縁を扱っており、寸法もさまざまです。使用用途や必要な強度によって、適切な材料を選定することが重要です。鉄骨造の胴縁は、高強度で耐久性が求められるため、材質選びが重要です。

胴縁の間隔

胴縁の取り付け間隔は、木造と鉄骨造で異なります。

木造の取付間隔
  • 一般的には、303mm(一尺)か455mm(一尺五寸)

サイディング材のメーカーが定めた施工マニュアルによって、取付間隔が指定される場合もあります。施工マニュアルに従うことで、より安全で確実な施工が可能です。適切な間隔で取り付けることで、外壁材の安定性が向上し、長持ちします。

鉄骨造の取付間隔
  • 最大610mm以下(一般的には606mm)

鉄骨造では、胴縁の間隔を広く取ることができ、施工の効率が高まります。しかし、間隔が広すぎると強度が低下するため、適切なバランスが求められます。設計図に従って、適切な間隔で取り付けることが重要です。

縦胴縁と横胴縁の違い

胴縁は取り付ける方向によって呼び方が変わります:

  • 縦胴縁(たてどうぶち):縦方向に取り付ける胴縁。梁や土台に垂直に設置。
  • 横胴縁(よこどうぶち):横方向に取り付ける胴縁。柱や間柱に水平に設置。

縦胴縁は外壁内に下部から上部へとまっすぐ隙間が空き、通気が機能しやすい特徴があります。空気は温まると上昇するため、熱気が下から上へと移動して排気されます。横胴縁の場合、空気の流れを遮らないように通気スペースを設けます。

縦胴縁は、外壁内の空気の流れを確保しやすく、通気工法に適しています。一方、横胴縁はサイディング材を縦に取り付ける際に使用され、適切な通気スペースを設けることが重要です。

野縁と胴縁の違い

野縁(のぶち)は主に天井の下地に使われる角材です。天井板を打ちつけるための下地骨で、天井仕上げ工事において使用されます。野縁と胴縁の違いを理解することも重要です。

  • 野縁:天井の下地材
  • 胴縁:壁の下地材

野縁は、天井材を支えるための重要な部材であり、天井の強度や美観に影響します。胴縁は外壁材の取り付けに使われ、壁の強度や通気性に寄与します。それぞれの役割を理解し、適切に使い分けることが大切です。

まとめ

胴縁とは、柱や梁などに外壁材を取り付けるための下地材です。その目的は壁の強度を高めることと、木造建築の通気工法で空気の通り道をつくることです。建築構造によって胴縁の寸法や取り付け間隔は異なります。縦胴縁と横胴縁、野縁との違いも理解し、適切な設置方法を選びましょう。専門家のアドバイスを受けながら、適切な材料と施工方法を選定することで、建物の耐久性と美観を維持することができます。

胴縁は、外壁の下地として非常に重要な役割を果たしています。適切な材料選びや配置方法を理解することで、建物の耐久性を高め、美しい外観を保つことができます。胴縁の役割や寸法、設置方法についての知識を深め、安心して建築やリフォームに取り組みましょう。

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